それはSすぎる!

NTTの電話料を払い忘れていて、契約を切られ、家でネット接続できなくなった。トラブルのあるところにネタあり、というのは有名な格言ですが、今回のネット接続できないトラブルでもしっかり普段経験できないことが経験できました。「それはSすぎるやろ!」という話です。

ネットにつながらないので、電波が飛んでいるであろうネットカフェの建物のなかにいって、電波だだ乗りしてメール返したいとおもったのです。そのときは頭にネットカフェ自体にはいろうという選択肢がうかばなかったのです。

ネットカフェは3階にあるのですが、できるだけ近づいたほうが電波状況がよいということで、2階にある誰も通らない階段にいって、そこでmacbookを開けて、メール送信ってかんじだったのです。まあ時間にして5分くらいで済む作業ですので、それでいいかなと。ふつう3階にはエレベーターでいくし、夜中で暗いので階段は誰も通らないのです。ちゃっちゃと送信して、手早く帰ろうとおもってました。しかし、そのひと気のない階段2階部分にいたら、突然おんなのひとの声が聞こえたのです。

「まってって!」懇願するようにたぶん20代前半の女の子が叫んでました。

「なんやねん、はよ帰れや」めんどくさそうに、そしてぶっきらぼうに、ちょっとヤンキー系の男がいう。

「こんな終わり方いやや、ちゃんと話そ...」と、女の子が泣きそうな声で、男にすがります。

たぶん、やり取りから察するに、男は女に別れ話をした。しかし女の子は納得できない。しかし、男はもう別れると決めたんだから、話し合う必要もないだろう、といういきさつなんでしょう。完全に男のほうが立場が上なかんじでして、そのSっぷりがすごいのです。

女「ちゃんと話あおうよ」
男「話あっても、お前もうムリやって」
女「ちゃんと直すから、悪いとこいって」
男「しつこいって、キモイって」

そこまでいわれても、すがりつく女の子に、なんとも言えない感情がわいてきますが、忘れてはいけないのが、ぼくはいま電波ただ乗りしてネット接続し、メールを返したりしているところ。生徒さんにお返事書いたり、音楽仲間にファイル送ったりしているのに、そのやりとりが魅力的すぎて、業務に集中できません。

男「もう行くから、離せ!」

たぶん、エレベーターにのってネットカフェに男は入ろうとしているのでしょう。しかし、女の子が必死に食い下がります。声と音から判断するに、男をエレベーターに乗せまいと、女の子が引っ張っている模様。

ぼくの業務は既に終わっているのですが、その痴話げんかの空気を乱していいものか悪いものか決めかねて、階段から降りていくことができません。はやく終わらないかなとおもって待ってたのですが、なかなか終わらない。ということで、もういいや、とそしらぬ顔をして降りてって、喧嘩しているカップルの横を通り、ぼくは建物をでました。

横目でちらっと見たところ、女の子はファーがついたカーキ色のコートをきており、木村カエラ風の髪型をしてましてました。意外にかわいかったです。でも、がっつり泣いてマスカラとれてました。男はだぶだぶのB系の格好して、やっぱりちょっとヤンキーチックな人でした。(おお、若干かわいいのに、もったいない、いらないならもらいたい、とチラっとおもったことは内緒です。)

ぼくがふたりの前を通ったことで、やっぱり空気を乱してしまい、喧嘩は終わったようでした。その後、ぼくは建物をでてすぐのところにある交差点で、信号待ちをしてました。そうしたら、突然、男のほうが、バーーーっと、ボルトみたいに全力ダッシュでかけぬけていったのです!

なんだ!あれは!とぼくがおどろいていると、そのあとから、女の子が、どんくさい、ドタドタドタという走りかたで追いかけていきます。別れ際に全力で逃げるって、あの男、本物のSだなとおもいまいした。たぶん女の子の中では一生忘れられない終わり方でしょう。

男に全力ダッシュで逃げられるって...
文字通りすぎて泣けます。