詩仙堂-中西

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2008年11月某日、待ちにまったスイーツ会がやってきました!スイーツ会ってなに?といわれたあなた、いけません!いけませんよ!そんな基本的なことを質問していてはいけませんよ!スイーツ会とは、甘いもの大好きな人たちが、個人的な「スイーツ8強」を決めるという高尚かつ深遠な集団のことですよ!

そのスイーツ会の記念すべき第一回目が開催されたわけです!参加者を何人くらいにしようか、と会議を重ねた結果、3人ということになりました。スイーツ食べに行くとしたら、カフェか甘味どころになるわけですが、そこに8人くらいの集団で出向いたら、あきらかに場の雰囲気を乱してしまうことになる。スイーツを愛するものとして、そのような愚行を犯すことなどできない!ということになり選び抜かれたスイーツエリート3名でアタック!

季節的に11月後半の京都といえばやはり紅葉。紅葉みずしてなにするか、という具合なので、スイーツアタックとともに紅葉アタックも行うことにしました。紅葉をどこでみるか?というのが結構な課題だったのですが、清水寺、南禅寺、嵐山などの京都紅葉ベタ★スポットにすると、人ごみの中に突っ込んでいくことは必至。もうそれだけでぐったり疲れてしまう可能性も高いので、ここはひとつ戦略を立て、比較的人もまばらで、それでいて紅葉も堪能できるスポット、詩仙堂の周辺に行くことにしました。

詩仙堂の周辺というのは、広くいえば叡山電鉄の一乗寺駅周辺ということです。そう、高安などのラーメンで有名な一乗寺です。このあたりで戦闘力の高いスイーツ処を探します。いろんな人に聞き込みを行った結果、詩仙堂中谷という和菓子屋さんがあるとの情報を入手。具体的スイーツ名としては、丁稚羊羹(でっちようかん)というのが有名らしいのです。というわけで、詩仙堂中谷に行く運びになったのです。

当日は、大阪から2名のスイーツ会員(以下、スイーツァー=sweeter)が参戦。女子一名、男子一名。女子スイーツァーのA氏は電車に乗る前にパンを食べすぎたとかいってます。大丈夫ですか?どんな心構えですかそれ!お腹いっぱいでスイーツ味わえるとおもっているのか!などと、ひとりで憤りましたが、もしかすると、空腹状態でスイーツを食べると味を損ねる。むしろ満腹状態でさらにスイーツを詰めこむくらいの状況の方がスイーツの真価を見極められる、などという彼女一流の戦略なのではないか?とおもい、なにもいいませんでした。

京阪出町柳駅で待ちあわせをし、叡山電鉄に乗り換えます。そして一乗寺駅まで行き、電車を降りると来た方向が南、電車が進んでいく方が北になるので、そのようにして方角を確認し、東にむかって歩きます。いかにも下町の雰囲気をかもしだす道をひたすら進みます。すると見えてくるのが武蔵の看板。あれ?このあたりが中谷ではないのか?と戸惑いながらよく店を見ると、中谷とも書いてあります。なぜ武蔵と書いてあるのか理由はよくわからないですが、(たぶん商品名?)とにかくここが詩仙堂中谷なのでしょう。

お店に入った時間は13時30分くらいだったのですが、すでに少し混んでおりました。初老の男性店員さんが京都人らしいはんなりした言い方で、そちらの受付表に名前を書いてお待ちくださいといいます。言われたとおりにして人でにぎわう店内で待つこと約10分、ようやく席に通されました。店内は一席も空きがなく常にお客が待っている状態でした。私たちが通された場所も3名用というより、どう見ても2名用の席に座布団をひとつ足しただけのものでした。しかし文句をいうわけにもいきませんし、最初から不満などないです。ようは、スイーツがうまいかうまくないか、これだけを気にすればいいのですから。

おのおの着席しメニューを見ます。いよいよ決戦の時が近づいているのです。いやもう勝負ははじまっているといっても過言ではないでしょう。メニューには文字だけしか載っていないので、どのようなものなのか想像するのが大変です。洋菓子と和菓子というふうにジャンル分けされています。言葉から受けるイメージを頼りに自分の求めるスイーツを選ぼうと真剣に比較検討が繰り返されます。

敵はなかなかの戦闘力です。3人ともすぐに自分のオーダーを決めることができません。その間、二度ほど係りの人が注文をとりにきてしまいます。これはいけない。なんとかせねば、ということで、各人が何を食べたいか話しあうことに。気になっているものを挙げていくのです。評判の丁稚羊羹は食べてみたい。洋菓子のティラミスも食べてみたい。パフェがいい。おのおの好きに意見をのべます。僕は"わらびもち"が気になったのですが、なぜか洋菓子にジャンル分けされています。なぜわらびもちなのに洋菓子なのか?そんな疑問があたまをよぎりましたが、迷っている暇などありません。これは、やるかやられるかの勝負なのです。一瞬の油断が命取りです。一事が万事です。結局、ひとりでは食べたいものを食べることができないので、お互い話しあって食べたいものが3人のオーダーですべて食べれるように同盟を結び、ようやく注文しました。

各人が注文した品が目の前にだされます。そして緊張のファーストインパクト!僕の注文した"わらびもち"は大正解でした。(写真右上)洋菓子に分類されていたのは、わらびもちの上に白いムース状のクリームが乗っているからでした。ムースの舌触りがとてもふんわりしていて、舌に触れた瞬間に溶けていくような感覚です。そしてその後にわらびもちのプルプル感した触感がきます。甘さの方はどうかというと、それも甘すぎず、甘くなさすぎず、どちらかというと上品で控えめな甘さでよいバランスです。

そして、3者同盟の契りを守り、各々がお互いのスイーツを食べます。もう三人で注文したかのごとく仲良く食べました。どれもそれなりにおいしい。丁稚羊羹も独特の触感でなかなか興味深い味でした。でも、個人的には自分が注文したものが一番おいしいという、うれしい結果になりました。
つまり、自分の好みにあったスイーツを注文の時に引けるか引けないかという個人的な戦いには
とりあえず勝てたような気がします。

お店はとにかく人が多くてゆっくりするという感じではないので、京都に住んでいる限りまたおとずれる機会はあまりないとおもいます。スイーツ8強の旅ははじまったばかりなので、まだなんともいえませんが、過去食べたスイーツを押しのけるほどのインパクトはなかったようにおもいます。しかし、甘いものはおいしかったし、抹茶もなかなかの味でした。