京都:絶品タマゴサンド コロナ

カメラを忘れてたので携帯写真

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おいしくて安いという噂をきいていたコロナにようやくいくことができました。コロナは、阪急河原町の裏手にある老舗の洋食屋さんです。阪急百貨店の南側の筋を東にはいるとあやしい路地があり、つきあたったところに以前はおいしいパスタ屋だったカルドがあります。そこを右(南)に曲がるとすぐにお世辞にも綺麗とはいえないコロナがみつかります。

店内はプレハブではないか?というくらい綺麗ではないです。一番奥に料理をする主人が立っていて、その周りをコの字で囲う形で「切る場所」、「焼く場所」、「材料を置く場所」がコクピットのように配置されています。そして、コの字のあいている部分がカウンターになっています。そこにすわれば主人の作業をまじまじと見ることができるでしょう。あとは、テーブル席と座敷の席がありますが、できるならカウンターに座るとよいとおもいます。

料理を作ってくれるのは2009年時点で90歳と噂される主人です。ずいぶんご高齢にみえるのですが、なにかしらの矯正器具をつかっているのか背筋はしゃんとしています。機械のように無駄ない正確さでタマゴをわり、フライパンに乗せ、ひっくり返し、包丁で切り、パンにはさむ、という動作をしてくれます。何十年にもわたって同じ作業をくりかえしてきたのでしょう。高齢になっても料理場に立ち料理をし続けるというのは、よっぽど自分の仕事が好きなんだろうとおもいます。

カウンターのそばには給仕をしてくれるずいぶん綺麗な女性がいます。噂では、主人の血縁の方だとか、フライトアテンダントの養成所のようなところがあり、その中でアルバイトが代々引き継がれているとかいわれています。衣服をかえれば女優だといっても通ってしまうくらいです。気取らない美人っていいですね。

さて本当においしいのかおいしくないのか?不安と期待を抱きつつ、タマゴサンド(500円)とキチンカツを注文しました(大好きなんです)。

メニューを見ると「サンドイッチと洋食は追加注文がないようにおねがいします」とあります。勝手な想像ですが、高齢の主人にとっては一回一回の料理がとても重労働なのだとおもいます。気合をふりしぼらないといけないのでしょう。だから追加はしてくれるなよと。その証拠に料理が終わると店主は奥にかくれてしまいます。咳をしているのが聴こえたような聴こえてないような。

肝心のタマゴサンドの味ですが、最高です。「安物の最高級品」という称号を与えたいとおもいます。片側のパンにマスタード、もう片側に甘めの自家製?ソースをぬる。そしてこぼれおちんばかりの焼いたタマゴ。すべて食べたことがあるような味なのですが、素朴ですてきな味です。高級食材をつかっているわけでもない。雰囲気やサービスがいいわけでもない。しかし、普通の素材でもていねいにこだわりを持って作れば絶妙の味になるんだよということを教えてくれている気がします。

家に帰ってから自分で作ってみようとしたのですが、主人がやったようにタマゴがふわふわにならない。一見簡単におもえる料理なのですが、いざ自分でまねてみるとなかなかうまくいかない。技が隠されているんだなとおもいました。

帰り際に給仕の女性の方にお代を渡し出ていこうとすると主人が店の奥まったところに立ち見送ってくれました。おいしい料理を作って、お客さんを見送る。何十年そうやって過ごしてきたのでしょう。でも、店を出てから、もしかして料理している店主だけが本物で、見送ってくれた人はロボットだったらどうしようと不謹慎なことを考えてしまいました。ごめんなさい。

さて、コロナはとてもオススメの店です。ぜひ食べに行ってみてください。お店は夜の5時から9時まで(ラストオーダー8時半)だけの営業なので間違えてもお昼とかにいかないように。(月・火曜休?)
(右下のこの地図の詳細を押せば大きくなります。)

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