エレベーターには女性がひとり
- 2006年05月28日23:45
やってきたエレベーターには女性がひとり乗っていた。
ボタンの前にたつ彼女、ぼくは少し離れて一番奥のほうにたった。
彼女とぼくは偶然にもふたりきりになって一階へとむかった。
そこにはエレベーター独特の緊張感があった。
1,2階おりたところでエレベーターがとまった。
ドアがひらいた。
しかし、だれも乗ってこない。
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ドアがしまらない。
そう、彼女が閉めると間違えて、開けるボタンをおしている。
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なかなか彼女は自分の間違いに気づかない。
それとも、誰かとあらかじめ待ち合わせしていて
その誰かがやってくるのを待っているのだろうか?
そんな迷惑な待ちあわせやめてくれ
そんなことをかんがえる時間があるくらい
彼女はずっとボタンを押しつづけている。
しかも、ちょっといらだちながら、何回かボタンを押しなおしている。
これはなんだ?その行為になんの意味があるんだ?と僕はかんがえだす。
人は間違いにきづくまで、その間違いを正解だと思いこんでつづける
という訓示を僕に伝えようと彼女はボタンをおしているのか?
と考えてみたけど、そんなことはあるわけない。
犯人はお前だ、と言ってあげたい僕の気持ちがとどいたのか
彼女はようやく正しいボタンをおした。
そして、扉がしまった。