ちいさい男 vol.003

関西に住んでいると、一年のうち何回かはお好み焼きパーティーをしよう
という企画がもちあがります。ワイガヤガヤみんなで集まる楽しいひと時です。

そういう場合に、呼ばれていって何にも手伝わないのもなんだし
手伝う隙間があるなら、なるべく手伝うようにしています。

しかしですね、ある一定の確率でたまに遭遇する、
まったく理解できない行動をとる人がいるのです。
あれは何なんだろう?


お好み焼きを作る場合、台所のところでキャベツを切ったり
豚肉を切ったりして、その後にタマゴをわって、お好み焼き粉と水をボールの中で混ぜて
「お好み焼きのタネ」を作ります。

そしてテーブルのところに用意されたホットプレートの周りにみんな座り、
ビールとかを飲みながら、「お好み焼きのタネ」を焼きはじめるわけです。
そのときに事件は起ります。

そう、ほどよく焼けてきたお好み焼きをひっくり返す時に、
ホットプレートに鉄のフライ返しを、ガシガシ当てるヤツっていませんか!


お前!そんなことしたら、テフロンがはげるだろ!
と、心の中で大きくツッコンでしまいます。
そいつの腕を持ち、十分に熱された鉄のフライ返しを額に押し付けてやりたい気分です。

テフロンは熱された状態では、かなり傷つきやすいのに、
なぜあなたは、気にすることもなく、そんなに無神経にガツガツいけるのか!?
全く持って意味不明です。

20代も前半の頃は、若気のいたりか
本当にそういう場面に出くわすのが嫌だったのですが、
最近ではいい方に考えようとおもい、考え方を変えました。


そう、「文化人類学的視点に立つと、いま貴重なケースに遭遇している」。
この境地に立つことができれば、ほとんどのことに動揺せずに
心安らかに過ごすことができます。

もう、無神経な行動をする人、空気が読めない人との遭遇を
ある種の、異文化コミュニケーションだとおもうことにしたのです。

下手に同じ文化で、同じ価値観を共有しているとおもうから
イライラしたり怒ったりするのです。

見た目こそ日本人、しゃべっている言語こそ日本語だけど
もういっそのこと外国人だとおもう。

これこそ心穏やかに過ごす秘訣です。

そうでしょう。豚肉を食べないとか、ある一定の時間になったらどこかの方角を向いて祈るとか、
仏壇と神棚が一緒にあってクリスマスを祝うとか、日曜日に教会に行くとか、
異文化だとおもえば許せるじゃないですか。

それもいいじゃないか、あちらの文化ではそういうものなんだよ。
異文化なんですよ。異文化コミュニケイト。